ブドウはたくさんならせたい。しかし、ならせすぎると品質が落ちる。適正収量に関する考え方の参考になる文献です。
参考文献:新版 ブドウの作業便利帳
日射量と手入れで
ブラジルの日系ブドウ農家では、ルビー・オクヤマの反収は3tから4tが普通である。南半球の亜熱帯のため日照時間が長く、日射量がすごく強いうえ、海抜が1000mに近いため昼夜の温度格差が高いなど、自然条件が優れているためだ。しかしそれだけではなく、わが国と同様、全て平棚でつくられているからである。
その他の国ではほとんどが垣根栽培だから、プラジルと同じ気象条件でも反収は500 kgが普通で、多く着果させると品質が劣る。したがって、平棚栽培の有利性を最大限生かして、反収を飛躍的に高めることができたら、外国産ブドウと価格的にも十分競争できる。
それでは、わが国のブドウの反収は最高どれくらいだろうか。もちろん糖度は18%以上でなければならない。反収を厳密に測ったデータは少ないが、調査したかあるいは信頼できるデータは以下である。
最も多いのは、LAI4のシャインマスカットの項で述べた園である。その他の園は、従来の考え方で新梢長をおさえてつくった園である。それでも、甲州では3t以上と高く、ピオーネでもマスカット・オブ・アレキサンドリアでも、通常の園よりかなり多かった。
この園は、LAIが4程度と高く、糖度17%で、着色は悪いが白ワイン用にはよいということである。生食用で着色をよくしたいなら、房の南側を数枚摘葉すればよい。