冬のブドウの樹体内で起きていることをもう少し詳しく見てゆきます。
参考文献:最新農業技術果樹 vol.8
休眠中のブドウの体内で起きていること What is happening in the dormant grape.
糖含量の変化
細根では、1月頃から糖含量が急激に高まって、3月末に高い値となり、その後急増して発芽期に至ります。この2-3月のピークは寒さに反応した耐寒性増強の現象と思われます。同時に、このことによって根の細胞液の濃度が高まって、水分吸収が活発になって、体内の養分の流動を引き起こし、根中の養分を母枝や目に送り届けるのに役立っています。発芽期には樹全体で活性が高まり、糖は呼吸消費や芽と根の生長に活用され減少します。
窒素化合物の変化
無機態窒素は、1-2月にかけて細根中で急増し、根による活発な養分の吸収が推測されます。3月にはこれがアミノ態に変換し、母枝中のタンパク質態窒素が徐々に増加します。このことから、冬季中の根による窒素の吸収とアミノ酸合成、さらに地上部への移動と母枝中での利用が正常に進行していることが推測されます。