シャインマスカットは、開発の段階で栽培のしやすさを意識して開発された品種です。
栽培の歴史の長い巨峰と比べるとどのような違いがあるのでしょうか。
参考文献:最新農業技術果樹 vol.7
病気に強いたくましい品種です
シャインマスカットの耐病性をまとめると以下になります。
欧州ブドウ一般より、黒とう病を除き、耐病性が強い。晩腐病抵抗性は強く、ベと病抵抗性は巨峰並みに強い。
べと病、晩腐病、うどんこ病については巨峰を対象とした防除により栽培可能。
実際栽培していても、この感覚とほぼあっています。巨峰は、病原菌起因の腐れが発生しやすく、選果の際には注意深く検査する必要があり、荷造り時の負担大きいですが、シャインマスカットは、腐れに強く、荷造りもはかどります。
栽培だけではなく、箱に詰めて出荷するまでが農作業。シャインマスカットは生産者に嬉しいよくできた子です。
黒とう病に要注意
一般的に病気に強いシャインマスカットですが、黒とう病には弱いです。
黒とう病
病原菌: Elsinoe ampelina カビの一種
葉、葉柄、新梢、蔓、巻ひげ、穂軸、果梗、果実などのあらゆる若い軟弱な組織に発病する。葉では初め黒褐色の小さい斑点が多数現れ、後に拡大して中央部が灰白色、周辺部が暗紫色の病斑となる。
我が家のシャインマスカットも、一部の圃場で昨年苦しめられました。
ブドウ農家と黒とう病の戦い Fight against Plant Disease
対策としては、殺菌剤の定期的な散布。化学的対策のほかには、
感染した枝や巻きひげの排除。
枝や巻きひげに付着した黒とう病の菌は、越冬します。徹底的にこれらを園内から排除して、菌の絶対量を減らしてあげます。針金に巻き付いたひげは、冬場には木質化して硬くなって、取るのが非常にめんどくさい、、、ですが時間のある冬のうちにめんどくさがらずに地道に取り除きます。
雨除けハウスの設置。
湿気は病気の温床になります。ふさの間に入った水滴はなかなか蒸発せず、そこに病原菌が棲みつきます。
雨除けハウスを設置して、大事な房が雨に当たらないようにする対策を講じます。
ハウス設置は、労力がかかります。我が家は、両親が現役バリバリの時期はハウスかけてましたが、今は設置してません。自分が就農して少し余裕が出るので、病気に弱い傾向のある圃場から、部分的に雨除けハウス再開してみようと思ってます。
病気とうまく付き合いながら
農業をやっていく上で、病気をゼロにすることは不可能です。自然の中で、自然の力を借りて生産をおこなっているわけで、病気にはかかるもんだと思って農業やってます。
ですが、なるべく強い品種を作り、なるべく蔓延しない努力を積み重ねて、病気とうまく付き合いながら収量確保を目指します。