トレーサビリティは、常日頃みんながみんな気にしているかというとそんなことはありません。しかし、何かしら問題があったときに記録しておいてよかったーと思うもの。それがトレーサビリティです。
参考文献:最新版 図解 知識ゼロからの現代農業入門
食品の生産、移動ルートを把握する仕組み
トレーサビリティとは、生産・加工・流通・販売の全過程の情報を管理し、生産された製品が、いつどんな流通経路をたどって販売されたか、1製品ごとに履歴を遡って追跡できるという意味です。宅配便や工業製品など、食品以外の分野ではすでにトレーサビリティ・システムを消入している例がありましたが、食品のトレーサビリティは、EUが02年に、アメリカが03年に法的に義務づけるなど、21世紀に入ってから取り組まれるようになりました。その背景には、BSE(牛渾綿状脳症)問題をはじめ、食の安全性をめぐる問題が国際化し、その対策が求められるようになったことがあります。
日本では2001年、BSEが発生したのを機に、03年に牛肉トレーサビリティ法が施行され、また2009年には米トレーサビリティ法も制定され、米と米加工品についても、トレーサビリティの確保が義務付けられました。なお、他の食品に関しては、事業者の自主性に任されています。
食品が、国境を越えて広域に流通するようになり、生産・流通に関する情報をいかに管理して食の安全性を確保するか、また、いかに消費者まで情報を届け、安心できる食のシステムを築かれるかが、消費者の信頼を得るための課題になっています。