葉の表と裏、どちらに薬剤を付着させたら防除効果が高いでしょうか?
自分は、どっちも一緒でしょって思っていたのですが、どうやら深い話があるようです。
参考文献:だれでもできる果樹の病害虫防除 ラクして減農薬 [ 田代暢哉 ]
風媒伝染病害は葉の「表」と「裏」両方に
葉の表と裏、散布薬液はどちらにつけるべきか。それはターゲットにする病気の種類によるのです。
病気の媒体源の一つに風があります。風で媒介する病気の場合は、葉の「表」と「裏」両方 (樹体全体)に薬剤を付着させる必要があります。これらの病気の場合、胞子の付着は風まかせのため、どこから攻めてくるかわかりません。ですので、樹体全体をガードする必要があります。
雨媒伝染病害は葉の「表」に
風に加えてもう一つの主な媒体源は雨です。雨で媒介する病気の場合は、葉の「表」に付着させるのが効果的です。
雨滴には病原菌がウヨウヨしていますが、ここに薬剤成分が溶け込むことで病原菌胞子の発芽を阻害し、また病原菌そのものを殺すことができます。
では、効率的に雨水に薬剤成分を溶け込ませるにはどうしたらいいか、と考えると、雨粒が最初に触れるところに薬剤がないと効果がありません。雨は上から降ってきますので、つまり葉の表側に薬剤を付着させてあげることが重要になります。逆に言いますと、雨媒伝染病害の薬を、葉の裏に付着しても意味がないということになります。
ブドウがかかる病気は雨媒伝染が多いので、基本は葉の表と考えていいそうです。
しかし、ブドウの棚上散布というのはなかなか難しいものです。
ノズルや圧力を工夫して、なるべく葉の表に薬剤が付着する工夫をしなくては行けません。具体的には、風のない早朝、噴霧ドリフトが多すぎないように大きめの薬粒になるようにしてあげるのがいいそうです。
今何の病気をターゲットにしているのか考えて散布する
大事なことは、今自分が何の病気をターゲットにしているのか考えて散布するのが大事です。
薬剤選びの時は、ターゲットが何か考えると思いますが、薬種のみならず、散布方法も考えなきゃ行けないということです。
JAから配布された防除歴を盲信して散布するだけではなく、今日まく薬は雨媒体菌がターゲットだからなるべく葉の表に届くように、というようにロジカルに考えてSSを運転できるようになり必要があります。