発芽からブドウは着々と生長を続け、ツボミの中では実りに向けた準備が着々と進められています。
参考文献:最新農業技術 果樹 vol.8
発芽期の花穂と花蕾の発育過程 Flower bud development process
下図はマスカット・ベリーAの花穂出現期から開花期に至る花蕾内部の発育を示しています。雄ずいの外形が発育したあとに内部の胚珠、胚のうが形成・完成すること、雄ずいでも葯壁が先に発達してから内部で花粉が形成されていくことが認められます。
この期間の花蕾と子房の大きさの変化は下図の通りで、開花10日前から5日前にかけて特に急速な発育をします。
マスカット・ベリーAについて、花粉と胚のうの発育経過を図式化すると下図の通りで、開花20日前頃は花粉、胚のうともに母細胞の段階(2n)であり、15日前頃にそれぞれが減数分裂して花粉と排のう(n)が生まれます。その後、それらは発育を続け、開花2〜4日前にほぼ完成します。
このような花器各部の発育は、樹勢や新梢の勢力などにあまり影響されずに、ほぼ同じように進行するので、開花は新梢の短長にかかわらずほぼ一斉に始まります。したがって、デラウエアやマスカット・ベリーAの無核果作成のためのジベレリン処理適期を判定するのに、新梢の長さや展葉数のような新梢の生長状況によるよりも、子房や花粉の発育段階などをもとにすれば、より正確に開花までの日数を予測できます。実際には花冠長や子房長、花粉の4分子期の終了日などが比較的簡単に測定できるので、ジベレリン処理適期の判定に利用されています。