温室効果ガスというと、工場や車など化石燃料の燃焼を思い浮かべる方が多いでしょう。ですが、あまり知られていませんが、地球全体で見ると農業は温室効果ガスの主要な発生源の一つなのです。
参考文献: 土のひみつ 食料・環境・生命
農業と温室効果ガス
温室効果ガスには、よく知られている二酸化炭素(CO2)の他にも、微量大気元素であるメタン(CH4)、一酸化二窒素(N20)が含まれます。この二酸化炭素以外のメタンや一酸化二窒素、彼らはかなりの厄介者で、それぞれCO2の、25倍および298倍の温室効果を持っています。ヤバイ!!
しかもこれらのメタンや一酸化二窒素、実は農業が排出の大部分を占めています。
分かりやすいところで言うと、反芻動物。言い換えると、牛のゲップ。牛のゲップには高濃度のメタンが含まれ、これが問題になっています。植物由来のオーツミルクの普及をスターバックスが進めているのはこのためです。
農業というと、自然に優しいイメージがありますが、実はその逆で、地球温暖化には大きなインパクトを持つ産業なのです。
土壌と温室効果ガス
地球上の土壌全体には、約1兆5000億トンの炭素が存在すると推測されています。この炭素量は大気中CO2の約2倍。陸上の植物バイオマスの約3倍に相当し、土壌は地球上最大の炭素プールであると言えます。
このため、土壌炭素のわずかな増減が大気中の温室効果ガスに大きな影響を持つと言われており、農耕地土壌の管理方法の管理方法には、地球温暖化に大きなポテンシャルを持つと考えられています。
我が家は家族経営の小さな農家ですが、決して人ごとではなく、地球の将来の環境の環境を担っているのだ!
土壌におけるメタンの発生および吸収
水田や湿地などの酸素の少ない条件(嫌気的)にある土壌はメタンの発生源となっています。嫌気的な土壌中では、稲わらや植物遺体などの有機物を分解する過程において、微生物の働きによってメタンが生成されます。
一方、草地や畑地などの好気的な土壌においては微生物の働きによってメタンは分解されてCO2になるため、土壌はメタンの吸収源になっています。地球上のメタンの吸収源のうち、土壌は5%を占めると言われています。
ですが、ここで注意しなければいけないのが、農耕地とより自然に近い森林土壌のちがい。
一般的に農耕地土壌の方がメタン吸収能が低く、その原因は耕起や窒素施肥にあると考えられています。
概して、農耕地は、メタンを出す側の立ち位置にいると言えます。
農業は自然に優しいとあぐらをかくことなかれ
農耕地(耕地および草地)は世界の陸地面積の37%を占めており、農耕地は地球全体の炭素循環および窒素循環に異域な影響を及ぼしています。
増加し続ける世界人口を養う食糧を供給するため、農耕地土壌を持続的に利用しながら、さらに生産性を上げていく必要に迫られているのも事実です。農業生産を維持拡大しながら、発生する陰湿効果ガスを削減していくことが大きな課題です。
農業って工場に比べたら自然に優しいじゃん!メタン出すといっても、小さい農場しか持ってないから関係ないじゃん!といった甘えは許されないようです。自分の土地から出される温室効果ガスのこと、もう少し真剣に考えてみようと思います。