病害虫防除の3台要素の一つ、「病害虫そのもの」を排除・低減するためにできることは何でしょうか。
参考文献:だれでもできる果樹の病害虫防除 ラクして減農薬 [ 田代暢哉 ]
土壌の化学性 その2 Chemistry of Soil Part2
コツコツと病原菌や害虫の量を減らす
日頃の栽培管理の中でも病原菌や害虫の量を減らすことはできます。
もちろん、完全になくせるわけではありませんが、減らした分だけ薬剤散布の効果を高めることにつながるので、耕種的対策は欠かせないのです。
このような日頃の努力は、通常の気象条件の時は実感できません。しかし、雨が続いて薬剤散布ができないような時や病害虫が大量発生したような時には、その違いがはっきりと現れます。薬剤の力で日頃隠されていた努力が、薬剤の力が弱まった時にはっきりと見えてくるのです。
では具体的に、病原菌や害虫の量を減らすために、どのような方法があるのでしょうか?
病害虫源を排除・低減する方法
具体的にできる方法の代表例は以下です。農薬に頼る前に行うべき、基本となる対策群です。
病気の発生源除去
病害の発生源になる剪定枝や枯れ枝、発病した枝や葉を園外に持ち出す。
害虫の増殖源除去
害虫の発生している枝や葉を見つけたらすぐに除去。園外に持ち出すか、燃やすか、埋める。
病原菌・害虫の侵入制御
圃場をネットで囲って、害虫の侵入を防ぐ。袋掛けも侵入制御の一種。
害虫の行動抑制
圃場の周りに紫外線除去フィルムを貼ったり光反射シートを敷いて、虫の行動を錯乱。
(太陽の光の方向を頼りに飛んでいる虫の方向感覚をなくして、飛べなくする)
農薬は防除の補助であって、メインではない。
これらの対策を駆使すれば、病害虫の絶対量を少なくできて被害もかなり抑えられます。
伝染拡大のリスクも下げられるので、圃場を衛生的に保つことは周りの畑のオーナーの方々に迷惑をかけないための最低限のマナーでもあります。
ここまでやっても、これで全てうまくいくものではないのが現状で、その不十分さを補うのが農薬です。
農薬は補助的に使うものであって、病害虫管理のメインではないということを、もう一度よく頭に入れておこうと思います。