[農業情報マッチョになりたい] ブドウ農家のブログです

フロアブル剤という農薬の種類 A type of pesticide called Flowable

農薬の剤型には、水和剤、乳剤、液剤、粉剤、粒剤、などがあります。
これらに加え、最近ではフロアブル剤(懸濁製剤)の流通が多くなってきています。

参考文献:だれでもできる果樹の病害虫防除 ラクして減農薬 [ 田代暢哉 ]

「なめらかに流れる剤」

フロアブル(flowable)とは、「なめらかに流れる」という意味で、水の中に成分が沈まずにゆらゆらと浮遊している状態を示しています。フロアブル剤は剤型の分類では水和剤ですが、水和剤が粉末なのに対して、液体になっているという点で全く異なっています。見た目はドロドロした液体で、これを規定の濃度に水で希釈して使用します。

水和剤は、水に溶けにくい有効成分を微粒化して、増量剤(微粒担剤:粘土など)と界面活性剤を加えた粉末製剤です。このため、薬剤の調整時に粉立ちが問題になり、果実などの汚れも目立ちます。
これに対して、フロアブル剤は増量剤を含まず、水和剤の場合よりもより微細化した有効成分だけを水に分散させています。
なぜより微細化しているかというと、水和剤の成分のままだと重くて沈んでしまうからです。しかし、どんなに小さい粒子でも、そのうちに沈んでしまいます。そこでこれを防ぐために、フロアブル剤ではただの水ではなく増粘剤を加えた水に分散させています。

ラクに調剤、防除効果も高い

液体なので粉立ちがなく、水に速やかに分散します。粉塵を吸い込む心配がなく、ラクに安全に薬剤の調整ができる点で水和剤よりも優れ、果実の汚れも水和剤に比べると目立ちません。
さらに、水和剤よりも防除効果に優れているという利点もあります。これは、水和剤よりも成分の粒子が小さいために、植物体への付着が良くなること、そのため耐雨性が高まることなどによります。

だれでもできる果樹の病害虫防除 より引用

農薬は、有効成分そのものだけではなく、剤型も同様に進化を重ねてきていたんですね。植物への効き目だけではなく、作業者にとっても作業しやすく優しく進化しているのは、大変ありがたいことです。


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