[農業情報マッチョになりたい] ブドウ農家のブログです

ブドウは手間のかかる果樹 All the Effort Is For High Quality

海外の大規模なワイン産地では、ブドウの管理作業がほとんど機械化されていて、人間が手作業で行う場面は少ないそうです。コメやコムギなど、機械化大規模農業に近い形です。
一方、日本の生食用ブドウは非常に手間のかかる果樹栽培になります。
参考文献: 基礎からわかるおいしいブドウ栽培 小林和司著

ほとんど手作業

以下の表は、シャインマスカットの10a(100m x 100m。ほぼ一反)あたりの作業時間を示しています。

基礎からわかるおいしいブドウ栽培 より引用


自分の感覚もこれと大体同じです。春から夏に行う摘粒などの房づくりが一番大変で、めちゃくちゃ時間かかります。そして、今現在、冬の期間に行う剪定も思いのほか時間がかかります。
しかもこれらの作業はほとんど手作業。
機械化は、、、不可能とは思いませんがさぞかし緻密で賢い機械になりそうで、実用化のイメージはなかなか湧きません。

摘粒後のブドウ。一つ一つ手作業でこの形に整える必要があります。

参考に、他の日本の農作物の10aあたり業時間を比較すると、
コメ: 52時間
コムギ:9.2時間
スモモ:264時間
カキ:256時間
キウイ:209時間
ブドウはダントツで手間のかかる果樹と言えそうです。

外国産品との競争と、きわだつ品質

ブドウに限らずですが、あらゆるもののグローバル化が進んで、外国産品との競争にさらされています。世界には、広大な土地、雨が少なく日射量が多い気象条件、安い労働力、など日本よりも格段にブドウ栽培に適した産地がたくさんあります。

では、なぜこんなにも手間がかかる(作るのがめんどくさい)ブドウを日本で作り続けているか。
その答えは、シンプルで、見た目が良くて美味しいから。と思っています。
ブドウ農家である自分も、日本のブドウは本当に美味しいし、贈り物でもらったらテンションあがると思います。

基礎からわかるおいしいブドウ栽培 より引用

日本の生食ブドウの栽培技術はこれまで独自に発展してきて、さまざまな時間のかかる手作業は、もっと高品質な果房が作れないものかと考え、試行錯誤を重ねながら確立されてきた技術である。まさに製造業で使われる、「ものづくり」という言葉がふさわしい、と著者は語っています。

まさにその通りで、めんどくさい作業は全て高品質ブドウを作るためであって、このめんどくさい作業が基になったきわだつ品質こそが、メイドインジャパンブドウの競争力になります。

品質追求が省力化につながる

ブドウの管理作業は多岐にわたり、それぞれは適したやり方と時期があります。
やり方が間違っていたり時期を逃したりすると、いいブドウはできないのに加えて、作業のやり直しや、ばらついてしまった果房の選果など、余計時間がかかります。
逆に、それぞれの作業を正しく、適正な時期に行うことができれば、自然と高品質なブドウができる。高品質の追求こそが、作業の短縮化になり、省力化につながるのです。

今は、冬の剪定を進めています。雪の中、時間がかかる地道な作業ですが、一本一本丁寧に、剪定を進めようと思います。

粒抜きといいツール Good Tool Helps the Farmer

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