私が作っているブドウ。このブドウはどこで生まれて、どのように農業栽培されてきたのでしょうか。
参考文献:果樹園芸学の基礎/伴野潔/山田寿/平智
ブドウ品種の分類と生産量 Grape Variety Classification and Production Volume
原産・来歴
ブドウは最古の果樹の1つで,白亜紀(1億4000万年前)の地層から種子の化石がみつかっている。氷河期(100万年前)後にアジア西部と北アメリカ東部で生き残ったものが現在の栽培品種の起源で,前者の代表種がヨーロッパブドウ(Vitis vinifera), 後者の代表種がアメリカブドウ(V. Jabrusca)である。日本にもヤマブドウ(V.coignetiae)など数種が自生しているが,ごく一部で栽培されているにすぎない。ブドウの果皮色は,アントシアニン色素の種類や濃度のちがいによって,黒色系、赤色系、緑色系に分類される。これらは遺伝的形質であるが,温度や栽培条件などによっても大きく変わる。
日本での栽培と品種
日本での本格的な栽培は,欧米から多くの品種が導入された明治時代からである。例外は1186年に山梨県で発見された甲州で,江戸時代に栽培が広まったヨーロッパブドウの血を引く日本最古の品種である。
ヨーロッパブドウは品質に優れるが病害虫に弱く、アメリカブドウは病害虫に強いが品質が劣るため,日本では両種の雑種(V.labruscana)がおもに栽培されている。1970年代までは‘デラウエア’と‘キャンベル・アーリー'が主流であったがその後‘巨峰や‘ピオーネ’などの4倍体大粒品種が増えている。生産量は約20万tである。世界的にはブドウの生産量の半分近くがワインに加工されるが、日本では9割以上が生食用である。