[農業情報マッチョになりたい] ブドウ農家のブログです

気孔はラジエータでありポンプでもある Pores are radiators and pumps.

「気孔」高校の生物で習った記憶ある方多いと思います。
葉っぱの裏側にあって、たらこ唇みたいな形してるアレです。この気孔、農業生産において、極めて重要な役割を果たしています。

考文献:図解でよくわかる農業のきほん

蒸散で葉温を下げる

根から吸われた水は、空気中の二酸化炭素とともに、光合成の原料になっています。しかし、根から吸われた水の行き先を調べてみると、光合成に使われる量は意外にも少なく、1%にも満たない量です。
では、残りの99%はどこへいくか。根から吸われた水の大多数は、葉っぱの気孔から蒸発して水蒸気として出てゆきます。これを「蒸散」と言います。
せっかく吸ったのに、ほとんど出しちゃう。なんでそんな無駄なことを!と思うかもしれませんがこの一件無駄に見える水分の循環が、植物の生育には欠かせません。

一つ目の理由は、植物の温度調整です。
蒸散には、強い日差しで上昇した葉面温度を下げる作用があります。葉面温度が適温を超えると、呼吸による消耗と、光合成能力の低下が起きるので、蒸散による冷却作用が極めて重要になります。
葉っぱは、光合成が行われるエンジンでもあり、温度調節を行うラジエータの役割も担っているのです。

図解でよくわかる農業のきほん より引用

蒸散で養分を吸い上げる

もう一つ、蒸散の大きな働きは、水を吸い上げるポンプとしての役割です。
気候からの蒸散量が多いと、水を吸い上げる力が高まり、それに伴って、根からの養分の吸収量も多くなります。
植物には心臓がありません。水や養分を巡らせる力は、葉っぱでの蒸散によって生み出されているわけです。
葉っぱと根っこ、一見独立した器官に見えますが、物理的にも、機能的にも繋がっている関係なのですね。

適正「飽差」で蒸散と光合成を促進

蒸散を盛んにして、光合成量や養水分の吸収量を増やすには、「機構が開く環境管理」が重要な課題になります。
このために、最近注目されているのが、「飽差」という湿度管理の指標です。
飽差とは、その空気にあとどれくらい水蒸気が入るかを示す指標で、空気1㎥あたりの空気の容量をgで示します(g/㎥)。

適正と言われる飽差範囲は、3~6g/㎥で、飽差が6以上(乾きすぎ)だと、気孔が閉じて蒸散が止まってしまい、3以下(湿りすぎ)だと、気候の内外に水蒸気圧差がなくなり、蒸散が起きなくなります。

図解でよくわかる農業のきほん より引用

昨シーズンの我が家のシャインマスカット、一部の圃場で、高温による「やきつけ」が起こっていました。
蒸散による、樹体のラジエータ機能、ポンプ機能が低下して、樹が苦しい状態になってしまったものと思われます。
日照りが強くて高温が続く時期は、灌水の量を多くして蒸散を活性化できるように、今年は工夫してみようと思います。

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