農家の冬は時間に余裕があります。
少しずつ、園芸の勉強も進めます。
今日はブドウの袋の色について。
果実の保護と、収穫期ずらしのために
ブドウの粒抜きを終えて整形が終わった後、7月頃からブドウに紙製の袋をかけます。
主な目的は、
- 雨除け
- 日焼け防止
- 病害虫、鳥からブドウを守る
ブドウの袋かけ Keep Growing in the Shell
これらの果実保護の目的の他に、もう一つ大事な役割があります。
それが成熟期の調整で、袋の色によってコントロールします。
照度を調整して収穫期を分散
ブドウの袋の色は主に、白、緑、青が一般的です。
自分も色を使い分けていることを知らなくて、最初は単に生産者の趣味と思っていたのですが、どうやらもっと深い理由があるそうです。
以下のデータは、袋の中にセンサーを入れて、各種環境データを取得したものです。
色の違いによって、温度と湿度は大きな違いがありませんでしたが、照度と紫外線量に顕著な差が。
照度は、 白色袋>青色袋=緑色袋
紫外線量は、白色=緑色>青色
照度や紫外線は、ブドウの生育に大きな影響を与えます。袋の色によってこれらの因子をコントロールして、ブドウの生育を意図的にコントロールしている訳です。
収穫期をずらしたい理由
ではなぜ、生産者はブドウの生育をコントロール、すなわち時期ずらし、をしたいか。理由は、、、
- 生産者の工数集中回避
- 適切な市場への供給
一つ目の理由は単純に、一気に全ての畑のブドウが収穫期を迎えてし待っても、収穫が追いつきません。寝れません。特に家族経営の農園ではなおさら人手不足で寝れません。かといって、収穫タイミングを逃して放置してしまってもカスリ症や過成熟等、ブドウの劣化が始まってしまいます。
程よく時期をずらして収穫のオペレーションが回るようにします。
二つ目は、できる限り長くブドウを味わってもらうためです。通常、シャインマスカットは7月頃から流通が開始し、11月頃に流通量が減ってしまいます。できる限り長く市場にブドウを届けられるように、(あわよくばお歳暮やクリスマスシーズンまで)、ブドウの生育を遅延させたい訳です。
シャインマスカットを長期貯蔵で時期ずらし The Grapes Sleep in the Fridge
そういえば、去年の袋かけの際に父親が
この畑は緑、この畑は白、同じ畑でも外周部は緑、中心は白
など細かい指示を出していたなぁ。一つ一つの仕事に意味があることを再認識しつつ、大事なことは言ってくれ!とも思います。
それでは!