春の発芽の後、新梢が成長してそこにブドウがなります。
新梢とは何者なのか、細かく見ておこうと思います。
参考文献:最新農業技術果樹 vol.8
新梢の構造
新梢は主に茎、葉、花穂から成り立っています。茎には節があり、各節からは葉柄が左右に交互につきます。葉柄の付け根には腋芽が形成されますが、腋芽には上下二つの生長点があり、上側の生長点はすぐに伸長を始めて副梢になるので夏芽と呼ばれます。
一方、腋芽の下側の生長点はその年は発芽することなく葉や花穂の原基の分化発達を続けて越冬し、翌年発芽して新梢となるのでこれを冬芽または本芽と言います。
花穂は新梢の基部から4節目と5節目に連続して着生するのが普通です。基部の節間が非常に短く、第3, 4節に着穂しているように見える場合もあります。花穂ができた先は巻きひげがつきます。巻きひげは、発生学的には花穂と同じもの(相同器官)であり、花蕾が形成されずに、軸のみが発達したものと考えていいです。
茎の構造
茎の内部構造はどうなっているのでしょうか。茎の中心部の髄は柔らかい細胞でできていますが、その外側は硬い細胞がギッチリと並ぶ木部で、内部には多数の導管が並んでいます。根が吸った土壌の養水分はこの導管を通って葉や花穂、果房に送られます。木部の外側には形成層があって生長期間にはここが細胞分裂をおこなって茎が肥大します。
形成層の外側には篩部があります。葉で合成された同化産物は篩部中の篩菅を通って花穂、果房やその他の生長部位、地下部の根に送られます。
基本形態を覚えて異常を検知
節に交互に葉をつけたり、水分や養分を運搬するパイプラインを長距離で作ったり、いつ見てもブドウの遺伝子ってよくできているなと思います。
品種や生育状態によって微妙に変わってくると思うのですが、基本の形態を知っておくと、異常があったときにすぐ気づけますので、しっかり頭に入れておこうと思います。
新梢の成長具合について Growth of new shoots