農業は病害虫など外敵の多い自然界で営まれ、厄介なことに自然生態系よりも病害虫に弱い。
ではなぜ農業が病害虫に弱いのかというと、、、
考文献:図解でよくわかる農業のきほん
なぜ農作物が弱いのか
なぜ農作物は自然生態系よりも弱いのか。理由は大きく三つあります。
その1 「多様性の欠如」
広い農耕地で栽培されるのは同一種類の植物、しかも、同じ発育段階の同一品種。
加えて、田畑を耕すことで雑草が排除され、生育する昆虫や微生物もわずかな種類に単純化されます。
とりわけ単純な昆虫相では、その農作物を直接の栄養源とする害虫が多発します。
その2 「品種改良」
植物は進化の過程において、草食動物や病原菌から身を守るために色々な忌避物質や有害物質で「武装」してきました。辛味や渋味、などですが、これらは人間にとって必ずしも好ましいものではなく、品種改良によって美味しさを追求してきました。これは言い換えれば、農作物の「武装解除」とも言えます。
その3 「栄養価の高さ」
野生の植物に比べて栄養価が高い農作物が一面に広がる農耕地は、一次消費者である害虫にとっていわば、「美食の天国」。人間にとって美味しいものは、当然ながら、病害虫にとっても美味しいのです。
敵が多くて、武装解除してて、うまい。
病害虫の格好の餌食になるのも当然です。。。
化学農薬に依存しない病害虫防除
このように、貧弱な農産物を病害虫から守るのが、農業の宿命です。その主役として最も浸透しているのが「農薬」です。正直、農薬を使ってブドウを守ってあげないと、我が家含めたブドウ農家は、収入ゼロです。
一方で、化学農薬だけに頼らない防除が今の課題で、
「総合的病害虫管理」(IPM, Integrated Pest Management) の必要性が叫ばれています。
IPMは、天敵の抑止力を活かして農薬使用を最小限にして、病害虫を許容できる密度に抑え込もうという概念です。
また、このIPMから発展して、「総合的生物多様性管理」(IBM, Integrated Biodiversity Management) の重要性も考えられるようになってきています。IBMでは、害虫や天敵、それ以外の虫も含めて生物の多用性を担保しながら、作物の成長に適切な環境を守ってゆくことを目指しています。
農作物を単なる「商品」として捉えるのではなく、農業は自然界での植物の営みの一部と捉えて、そこからおこぼれとして発する農作物を収穫して農業を営む、という考え方だと思います。
数百年レベルでの農業の永続性を考えたときに、重要視しなきゃいけない考えであることは間違いない。同時に、生産者だけではなく、消費者のマインドも一緒に段階的に変わっていかないと、なかなか実現難しいのかなぁとも感じました。
農薬がもたらしたもの What Pesticides Have Done to Us