日本のブドウは多種多様な品種が北は北海道から南は沖縄まで、広く栽培されています。栽培地域によってブドウの生育環境が大きく異なるため日本の中で収穫期が大きくずれて、出荷の産地間リレーが可能になります。
参考文献:最新農業技術 果樹 vol.8
地域別の巨峰の生育期
日本で最も多く栽培されている巨峰をもとに地域別の生育期を把握し、各地域の生育期の特徴を理解したいと思います。
被覆施設により多少の生育前進の可能性はありますが、露地、トンネル、雨除け栽培では巨峰の発芽は早い地域で3月下旬、遅い地域で5月上旬となり、鹿児島以北の巨峰の発芽期間は40日程度の広がりを持ちます。また、開花日も同様で広がりがありますが、発芽から開花日までの日数の地域依存性は小さく、その期間は平均で48日になります。
収穫日は8月上旬から始まり、10月中旬まで続きます。成熟日数は地域によって異なり、総じて果実の成熟期間が冷涼な地域と温暖な地域で長くなる傾向があります。これは、前者は冷涼な気候のため減酸が遅れ、後者は温暖な気候のため着色が遅れ、収穫が後ろ倒しになるためです。
北海道・北東北のような寒冷な地域でも無加温ハウスでは巨峰の栽培は可能ですが、露地栽培では果実が成熟するために必要な温度が不足する恐れがあり注意が必要です。一方、沖縄のような温暖な地域では自発休眠覚醒に必要な低音遭遇時間が不足し、発芽の不良や不揃いが生じることがあります。
ブドウの休眠と休眠覚醒 Dormancy and awakening of grapes