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果樹の生育サイクルと貯蔵養分 Fruit tree growth cycle and stored nutrients

気温がグッと上がり、ブドウの生長が目に見えて早くなってきました。ちょうど今頃、ブドウたちは養分転換、すなわち、貯蔵養分が消費されていくとともに、新たに成長した葉によって得られた「同化養分」が使用されはじめる、時期を迎えています。
この貯蔵養分、単に貯蔵といっても果樹によって、貯める場所など、性質が違うことを知っておく必要があります。

参考文献:図解でよくわかる農業のきほん

展葉3,4枚のシャインマスカット。この頃に養分転換します。

貯蔵養分と同化養分

果樹の特性として、「栄養成長」と「生殖成長」の同時進行があるが、果樹にはもうひとつ大きな特性がある。それは、春の生育時に使う養分は、前年の秋までに樹木内にたくわえられるということである。つまり、最初は前年にたくわえられた「貯蔵養分」を使うことによって生育がすすむが、貯蔵養分が消費されていくとともに、新たに成長した葉によって得られた「同化養分」が使用されはじめる。この貯蔵養分と同化養分が切り代わる時期を「養分転換期」と呼ぶ。
たとえば、ナシなどで果実を多くならせすぎると、貯蔵養分が果実に多く使われるため、葉や茎の生育が不良になり、その結果、光合成による同化養分の量が減ってしまう。同化養分の量が少なければ、当然、貯蔵養分の量も減り、翌春の生育に影響してくる。つまり、得られた同化養分を根、葉、幹、枝、花にバランスよく配分し、適量の貯蔵養分をたくわえさせることこそが、農家の腕の見せ所といえる。

図解でよくわかる農業のきほん より引用

果樹タイプにより養分蓄積の場所が異なる

果樹は大きく分けて次の4種に分類することができる。すなわち、カンキツやマンゴーなどの「常緑性果樹」、リンゴやナシなどの「落葉性高木果樹」、プドウやキウイフルーツなどの「落葉性つる性果樹」、そしてスグリやプルーベリーなどの「落葉性低木果樹」である。それぞれのタイプによって、貯蔵養分が蓄積する部位が異なるため、栽培管理の仕方も変わってくるので注意が必要である。

【常緑性果樹:冬の葉に蓄積】
一年を通して葉をつけており、冬の葉に翌年に必要な貯蔵養分がたくわえられている。そのため、冬に落葉させてしまったり、剪定で多くの葉をとり除いてしまうと、翌年の生育に影響してしまうため、気をつけなくてはならない。常緑性果樹の葉は、貯蔵養分を使いきると落葉する(およそ1~2年)。
【落葉性高木果樹:その年に伸長した枝、幹、根に蓄積】
貯蔵養分はおもにその年に伸長した枝、幹、根に貯蔵され、秋に落葉する。冬には休眠するが、貯蔵養分が多いほど、寒さに強い体質となる。貯蔵養分が少ないと、冬に冷害にあいやすい。しっかり貯蔵養分をたくわえさせることが重要だ。
【落葉性つる性果樹と低木果樹:根に蓄積】
貯蔵養分はおもに根にたくわえられ、おもに春に新しく伸長した若いつるや枝に使われる。そのため、剪定する際には古いつるや枝は除去し、若いほうを残すようにする。若いつるや枝を残したほうが、良質の果実が実りやすい。

図解でよくわかる農業のきほん より引用

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