農家の商売道具は、植物、日光、土、水。
水資源は永遠にあると油断していると痛い目に合うようです。
参考文献:マッキンゼーが読み解く食と農の未来
水資源の需要予測と開発予想
2030年までの水資源の需要予測では、2010年をベースに考えても、過去20年間の2倍弱の水資源開発が必要になると言われています。水資源開発というのは、降った雨、沸いた水を、工業や農業に使えるように確保流通させる、と言う意味です。
2030年に必要とされる水は6兆9000億立方メートルと予測されています。この需要に答えることは可能なのでしょうか?
今後の生産性向上や既存の水資源からの供給を考えても、供給量の増加は9000億立方メートルが限度で、残りの一兆5000億立法メートルがふそいくする形になると予測されています。
そこで新たな水源を探すことになるのですが、海水から真水を作り出すといったかなり強引な手を打たないと確保できないことになります。しかしこうして得た水資源はコスト効率が悪く、持続可能性も低いと言われています。
つまり、水資源は永遠にあるものではなく、このままいくと枯渇すると言うことです。
ブドウ農家と水
スケールが大きすぎるとピンとこないので、自分の周りの農業のことで考えてみましょう。
私たちの農家では、ブドウ畑への灌水は、「ハタカン」と呼ばれるスプリンクラーのようなもので行っています。水源は、近くの用水路から自前のポンプで組み上げるか、地域で出資&管理をしている共同プールから地下配管で各畑に分配される水を用いています。
父親に言われたことがあります。
「水は怖いぞ」
水の枯渇は大きな障害に直結します。ですので、どの農家さんも水の管理には敏感でピリピリしています。
用水路にしても、共同ハタカンにしても、みんなでお金を出して共同で管理をしています。みんなの水なのです。
だから、例えば、自分の畑だけに必要以上に多く水を汲み上げたり、自分の畑の横を通る用水路が崩れたままにしておく、ということは厳禁です。
実際、昔は水に関するいざこざがたくさんあって、今は管理組合を作るに至ったと聞いています。
グローバルでは水は有限であることを肝に銘じつつ、自分の周りのことをコツコツやるのが今の自分でできること。用水路の草をこまめに刈って、崩れた石垣はすぐ治す、など既存の水資源の維持に気を付けていこうと思います。
ブドウの水分消費量 Grape’s water consumption