[農業情報マッチョになりたい] ブドウ農家のブログです

ブドウの収穫期判定 Determining Grape Harvest Time

消費者の皆様に美味しいブドウを提供するために、収穫適期を見極めることも生産者の大事な仕事です。

ブドウの味を決める物

ブドウのおいしさを決める要素は、主に以下であると考えています。

  • 糖度
  • 酸味
  • 香り
  • 歯応え
  • 見た目
  • 食べるシチュエーション

最後の食べるのシチュエーションというのは、生産者ではコントロールが難しいので、その他の要素がベストになることを目指して、生産者は収穫の時期を決めます。
この中でも、糖度と酸味が「味」を決める大きな要素になってきます。

酸味と糖度の関係

以下のグラフは、シャインマスカットについて、粒の重さ、糖度、酸味、色を、満開後日数でプロットしたものです。

最新農業技術 果樹 vol.9 より引用

粒の重さは満開後90日頃まで増加してその後一定。糖度は満開後100日頃に18達し、酸度は90日頃までに急激に低下します。
ブドウの食味は、糖と酸の比率で決まると言われ、糖度は高いほど、酸度は低いほど、美味しく感じられます。
目安は16~18度以上の糖度はで、酸度が0.6g/100ml以下、糖酸比25以上、と言われているそうです。
シャインマスカットは、酸が早く減少して少ない品種なので、収穫時期は糖度(甘さ)が大きな指標になります。

糖度のを左右する条件

糖度は収穫期でコントロールされますが、それ以外にも作用する要素がいくつかあります。
一つは日照条件
ブドウの果実肥大期では、葉から果実に転流した光合成産物の多くが細胞構成成分として果実の育成に使用されます。その後、果実への光合成産物の分配量は増加するにもかかわらず、肥大に利用される量が少なくなるため、転流してきた光合成産物が糖として蓄積されます。
つまり、ガンガン光合成させると、成長で使う分を差し引いて余った分ががどんどん糖として房に蓄えられていくわけです。かといって葉っぱをたくさんつけすぎると、葉っぱに栄養がとられてブドウに栄養が行かないので注意必要です。
以下のグラフは、日照時間が少なかった2009年と標準的な日照時間だった2010年の同じ圃場の糖度の比較です。太陽の力は偉大です。

最新農業技術 果樹 vol.9 より引用

同じような理由で、着果量(成らせるブドウの量)も糖度に大きく影響します。
光合成量の余った分が糖になるわけで、少数精鋭に集めれば、それだけ甘くなります。
下のグラフは、収量の異なる木の糖度の比較です。欲張ってたくさん成らせすぎると、糖度が最後まで上がってきません。

最新農業技術 果樹 vol.9 より引用

収穫時期判定は農家の腕の見せ所

糖度ひとつとっても、これだけ色々な要素が絡んできます。
甘さばかりを追求しても他の食味決定要因とのバランスが崩れて甘いだけのブドウになってしまう。
刻々と日々変わる食味を見極めて、ベストなタイミングで収穫するのは農家の腕の見せ所です。
私は去年が初めての収穫でしたので、いろいろな圃場の、いろいろな箇所の、いろいろな時期のブドウを食べまくりました。糖度計で数字を確認しつつも、慣れるまでは、自分の舌で味を判定して、良いブドウをベストなタイミングで皆さんに届けられるようにしたいです。
自分の舌に加えて、判定基準の一つにしているのが子供の感想です。我が家のキッズが美味しいブドウは、きっと世の中でも美味しいブドウのはず!

規格外ブドウと子供の味覚 A child’s sense of taste is reliable


*私個人的にははどちらかと言うと、酸っぱい葡萄が好みです。完熟の少し前のブドウが、程よく酸っぱくて香りも立って好きです。いろいろ食べ比べたい方、ご連絡ください。

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