前年に腋芽内で分化・発達した花穂の元となる原基は、冬を経て翌年の発芽頃から再び活動を再開します。
参考文献:最新農業技術 果樹 vol.8
ブドウの花芽の形成と時期 Formation and timing of grape flower buds
春の訪れとともに発育再開
発芽が起きる4月下旬頃から、花穂原基は再び急速な発育を始めます。花穂原基の主軸および分岐した花穂が伸びて急速に大きくなります。発芽してからの花穂の発育はいちだんと急速になり、基部の小穂では個々の花蕾の発育が、中央部から先端部では穂軸の分岐と花蕾の分化が始まります。
下図は展葉開始期の花穂の断面図です。基部の小穂上では花蕾一つ一つがはっきりしており、中〜先端部ではいくつかの花蕾の塊が認められます。花蕾単位及び花蕾の塊の単位に長い萼片がそれを包み込むように保護しています。
芽が約15cmに伸びて第4・第5葉が展開して第1・第2花穂が新梢上に現れる頃には、花穂の先端部まで花蕾がほぼ分化し、萼と花冠が形成され、雄ずいも形成されつつあります。このあとは、雄ずい、雌ずい、胚珠と順に内部の器官が形成されてゆきます。