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花芽分化と環境要因 Flower bud differentiation and environmental factors

春の新梢成長の時期の大事なイベントに、花芽(花房の原基)の分化があります。

参考文献:最新農業技術果樹 vol.8

温度と光と花芽分化

新梢が50~70cmに伸びた頃に、基部の腋芽内で花芽(花房の原基)の分化が始まります。それに影響を及ぼす環境要因は温度と光が主なものです。デラウエアとマスカットについて、この二つの要因を組み合わせた実験の結果があります。

デラウエアでは、短日条件下(SD, 午前9時から午後5時までの自然日照だけ)では、20度でも30度でも、腋芽内に形成された花房原基数は平均0.14~0.15と非常に少ない。しかし、これに8時間の電灯補光をした長日区(LD)では、両温度区ともに0.32~0.49と2倍以上の花房原基数が形成されています。一方、マスカットでは、20度区では短日区、長日区ともにほとんど花房分化がなされず、30度区では短日、長日のいずれでも多くの花房原基が形成されています。
この傾向は新梢の生長についても認められます。すなわち、デラウエアは長日条件下では20度でも30度でもよく生長するが、短日下では両温度ともにほとんど成長しない。しかしマスカットでは短日下であっても30度であればかなり生長します。

最新農業技術果樹 vol.8 より引用

すなわち、アメリカ系ブドウのデラウエアでは、新梢生長、花芽分化ともに温度よりも日長に大きく支配されるのに対し、ヨーロッパ系であるマスカットは、日長よりも温度に大きく支配されます。

最新農業技術果樹 vol.8 より引用

光の量と花芽分化

光の量も花芽分化に大きな影響を与えます。二年生のデラウエアを数々の程度に遮光して育てると、新梢の生長(節数)はむしろ50%以下に遮光したほうが良いが、それらの区ではクロロフィル(葉緑素)含量が少ない。そして、翌春発芽してきた新梢に着生した花房の数および生体重を比較すると、前年の受光量が70%であった区は、100%区(無遮光)と大差なありませんが、50%以下区では花房数、花房重ともに劣り、特に20%区では極めて悪くなります。これはもちろん光を制限したために前年の花芽の分化、発達に必要などうか養分が十分に供給されなかったことが主因と考えられます。

最新農業技術果樹 vol.8 より引用

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