日本のブドウ栽培、増えているのか、減っているのか、ブドウ農家の私としてはしっかり頭に入れておかなきゃ行けないことです。
参考文献:最新農業技術果樹 vol.8
1990年以降のブドウ栽培
端的にまとめると、日本のブドウ栽培は減少しています。
1990年の全国のブドウ結果樹面積は24,200ha、収穫量は276,100t、という数字でしたが、その後は一貫して少しずつ減少を続け、2013年には、結果樹面積は17,400ha、収穫量は189,700tとなり、1990年と比較してそれぞれ71%および68%となっています。
一方、生鮮ブドウ輸入量は年10,000tで推移していましたが、2010年以降、米国や地理からの輸入が急増し、2012~2014年は20,000t程度となっています。
ブドウの施設栽培の推移
日本の施設ブドウ栽培の内訳をもう少し詳しく見てみます。
1989年にガラス室214ha, ハウス3,301ha, 雨除け施設2,888ha, 計6,403haであったのに対し、2009年にはガラス室119ha, ハウス3,289ha, 雨除け施設2,210ha, 計5,618haでした。
施設栽培の、全結果樹面積に占める割合は、1989年の23%から2009年には31%に上昇しています。
これには、1980年代から顕著となった気候の温暖化や強い台風や豪雨の襲来頻度の増加が関係しています。 耐病性の劣る欧州系ブドウの生産が増加したことで安定生産を行うために施設割合が増加していったのです。
一方、施設加温栽培は燃料費上昇の影響をモロに受けるため、加温栽培自体は減少していることも忘れては行けません。
時代に合わせて変化してきたブドウ栽培
これらの実際の数字に加えて、自分の肌感でも、日本のブドウ栽培の変化は実感できます。
自分が子供だった頃は、ハウス加温栽培、しかも巨峰が主流、というイメージがあります。それが現在では、路地や雨除けが多くなり、作付け品種も巨峰メインからシャインマスカットメインに変化しています。
また、少し寂しいことですが、遊休農地も昔に比べるとじわじわ増えてきている感じがします。
過去数十年で、ブドウ栽培は時代の流れに合わせて柔軟に変化を遂げてきたのだと思います。これから先も、もっともっと柔軟に変化を続けて、20年後の統計データにポジティブな数字を残せるよう日々努力してゆこうと思いました。