ブドウ農家の収入源はブドウです。
ブドウは樹体の物質生産の一部。
ブドウを増やすには物質生産を増やせばいい。物質生産を増やすには、枝や葉をガンガン伸ばせばいい。
でもガンガン伸ばせば、ブドウに栄養がいかなくてブドウが採れない。ブドウ農家はこの矛盾との戦いです。
物質生産を増やすには
物質生産を増やすことは簡単で、光合成をガンガンさせればいいのです。光合成の主役である葉をたくさんつける、葉をたくさんつけるために枝を長く伸ばす、これをすれば物質生産は拡大できます。
葉面積指数 Leaf Area Index(LAI)という指数があります。
単位土地面積当たりに存在する葉面積(片面)の総和
数値が大きいほど、葉が大きく、重なりあって存在して、込み込みのの状態になります。
一般的に、葉面積指数LAIが高い畑ほど、純物質生産量は高くなります。
全ての器官は競合関係にある
では、新梢をガンガン伸ばして、葉面積を増やして物質生産を高めさえすれば、ブドウの収量は大きくなるか、、、残念ながらNOです。
木をたくさん植えて、肥料をたくさんやって、枝を伸ばしさえすれば物質生産は簡単に増やすことができますが、これだけでは、果樹農家の収入源である果実を多く生産することはできないのです。
果実も、新梢も、葉も、それぞれなくてはならない協力関係を持ちつつ、栄養を取り合う競合関係でもあります。何事もバランスが大事で、ちょうどよく成長させる必要があって、そのコントロールが農家の仕事になります。
果実への分配率を高める
下のグラフは、葉で生産された純生産量が、果実と茎にどれだけの割合で分配されたかを、枝の長さごとにデータを取ったものです。
基本的に、果実分配率は、新梢の長さに反比例します。
果樹への分配を多くするには、新梢の長さをコントロールすることが一番大事ということを如実に示しています。
具体的には、摘心(新梢の先端を切って成長を抑制する)や副梢の除去、を行っていいアンバイに持ってゆきます。
葉が生い茂る夏場、父親がよく、
この畑は暗過ぎるからちょっと枝を落とすか
この畑は明るいからもう少し葉っぱ頑張ってくれないかなぁ
などど言っていましたが、その意味が今となったら腑に落ちます。
シロウトの自分は葉っぱや枝が生い茂った畑の方が生命力があって、なんかイイじゃん、って思ってしまっていたのですが、バランスが大事ということですね。
とはいえ、このいいアンバイってのが難しいんです。経験あるベテラン農家は頭の中にいいアンバイ指数が入っているのでしょうが、自分にはまだない。しばらくは、父親や先輩農家の話をよく聞いて、体に染み込ませようと思います。
*葉面積指数を測定するのは大変そうですが、簡易的に、畑の明るさを数字で測定できる照度計を一つ買おうかなぁと思います。
ブドウの生育を物質生産で捉える Grape Growth in Terms of Material Production