摘粒に追われておろそかになっていた枝管理を進めています。大粒で美味しいブドウにするために欠かせないこの仕事。ブドウ農家の仕事は、枝管理、と言っても過言ではありません。
しかし、この枝管理、とても奥が深く、正解が掴みにくい。経験が蓄積されるまでは、なるべくたくさんの本を読んで知識を増やしておこうと思います。
参考文献:基礎からわかる おいしいブドウ栽培 [ 小林和司 ]
樹相をもう一度見直して新梢管理
7月に入ると果粒軟化期(べレーゾン)から着色始めとなる。この時期から果粒は糖分を蓄積し、成熟していく。着色や果粒肥大を良好にするには、光合成産物を効率的に果粒に転流させる必要がある。そのためには、この時期、新梢生長がほぼ停止している樹相に導いておくのが理想である。
逆に、この時期になっても新梢が伸び続けているようでは、本来果粒にまわるべき養分が新梢の伸長に費やされ、肥大や着色が劣ってしまうこととなる。翌年に向けた枝の充実も不十分となる。こうした樹は施肥量やせん定量などを見直す必要がある。また、この時期は着色期を迎えることから棚の明るさも一定程度確保したい。棚が暗いと着色が劣ったり病害虫の発生を助長する。棚面に2割程度(葉影率8割)の光が入るようにする。
ブドウのベレーゾンとは? What is a grape véraison?
具体的な管理ポイント
以上のようなことを踏まえ、次のように管理する。
- 果粒軟化期前に伸びの止まらない新梢は先端を摘心し、果房への同化養分の転流を促す。
- 徒長的な新梢に強い摘心を行なうと副梢が多く発生する。弱めに行う。
- 棚面を暗くしたり伸び続けている副梢は、葉を2~3枚残して摘心する。
- 必要以上の新梢の整理は、生産性の低下や日焼け果の原因となるので注意する。
- 果粒軟化期に極端な新梢管理を行なうと、着色障害が発生しやすいので控えめにする。
- 果房全体に着色がまわった段階で見直しを行ない、棚が暗い場合は1間あたり1~2本の新梢をかき取る。
枝管理は、収穫が終わるまで続きます。