ブドウの栽培において大事なことは、頻繁に農園を巡回して異常を速く察知することです。
異常には大きく分けて、害獣被害、病虫害による異常、生理障害による異常、があります。この中で生理障害による異常は、他に比べて特徴が掴みにくく、正確に判断することが難しいです。
この時期になってくると、「黄色い葉っぱ」が散見されるようになってきます。細菌にアタックされてるようには見えないとなると、何か栄養素が足りていないことを疑うのがセオリーです。いくつかある可能性の中の一つが、カリウム不足です。
参考文献:環境・資源・健康を考えた土と施肥の新知識 / 後藤逸男
デラウエアでのカリウム栄養診断の実例
島根県で栽培されているブドウは「デラウェア」が中心で、約80%が加温栽培されている。この作型では果粒肥大期以降、葉の葉縁黄化や枯死、落葉などの症状が見られ、果実品質が低下する。
これはカリ肥料の施用、葉面散布が有効だが、すでに症状が発生した樹に対しては効果が十分でなく、事前に症状発生の有無を予測し、対策を立てる必要がある。開花期に第5葉の葉柄を採取し、抽出汁液のカリウム濃度と果粒肥大期以降の発生程度の関係を見ると、汁液中のカリウム濃度が2,400ppm以下では欠乏症が発生するおそれが高く、この時期のカリ肥料の施用により障害を未然に防止できる。
次シーズンに向けて肥料まき Spreading Fertilizer for Next Season