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害虫のタイプと防除法 Pest types and control methods

気温も高くなってきて、ブドウの発芽の時期を迎えています。発芽したての芽は柔らかい組織でいかにも美味しそうで、それを狙ってくるのが害虫(菌ではなく虫)達です。人間がこの春の時期に山菜の虜になるように、ムシたちも春の新芽が大好物なようです。私たち農家は害虫とどのように戦ってゆけば良いのでしょうか?

参考文献:図解でよくわかる 農業のきほん

「吸汁害虫」の防除法

害虫の種類は、葉や茎の汁を吸う「吸汁害虫」と、葉や茎.根を食べる「食害害虫」に区分される。
吸汁害虫であるアブラムシ類やハダニ類などは、増殖が速く寄生密度が急速に高まる。そのため、発生を確認したらすぐに防除が必要であるが、それらの駆除におすすめなのが、安全性が高く速効的な「気門封鎖型薬剤」(粘着くん液剤など)である。昆虫が空気を取り入れる「気門」という穴を物理的にふさいで窒息死させる薬剤で、窒息という殺虫方法ゆえに化学農薬で抵抗性が増している害虫にも効果的である。また、食品添加物や食用油、デンプンなどを主原料としているため使用回数に制限がなく、気門をふさげばよいため水あめ、片栗粉、デンプン粉など身近にあるもので代用も可能だ。
ただ、速効的ではあるものの、散布時に直接害虫にかからなければ効果がないため、害虫にムラなく薬液がかかるよう葉の表裏にていねいに散布する必要がある。

ブドウの新芽。タラの芽みたいで美味しそうです。

「食害害虫」の防除法

食害害虫であるアオムシやコナガ、ヨトウムシなど蝶や蛾の幼虫に対しては、まだ被害が軽微な発生初期に防除を行う。
これらの害虫の駆除におすすめなのは、カイコの病原菌からつくり出された「BT剤」(ゼンターリ顆粒水和剤など)だ。細菌の一種であるBacillusthuringiensis (バチルス・チューリンゲンシス)の産生する結晶性のタンパク質毒素を有効成分とする殺虫剤で、対象となる昆虫が摂食すると、摂食活動が阻害され死に至る。人間やそのほかの生物への悪影響はないといわれており、農林水産省の「有機農産物等に係る青果物等特別表示ガイドライン」では、有機農産物、転換期間中有機農産物への使用も認められている。また、ネキリムシやコガネムシの幼虫など土壌中に生息する食害害虫の防除には、水で薄めたり散布器具を使ったりする必要がない「土壌施用粒剤」の利用が広がっている。「浸透移行性」の粒剤もあり、それらは地上部に生息する吸汁害虫(おもにアプラムシ類が対象)にも有効だ。

害虫への予防散布は逆効果

家庭菜園に熱心な人が、まだ害虫が発生していないときから殺虫剤を散布している姿を見かけるが、殺虫剤の予防散布に効果はない。害虫の発生を抑える天敵を殺すことになり、むしろ逆効果だ。作物をよく観察し、被害が小さいうちに若齢の幼虫を駆除することが、害虫防除のきほんである。

図解でよくわかる 農業のきほん より引用

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