冬時期の果樹農家の大事な仕事の一つが、「剪定」です。
ブドウの粗剪定がひと段落したので、りんごの剪定に取り掛かります。
ブドウ農家のリンゴ剪定 Pruning of apple trees by a grape farmer
果樹の枝を若返らせる剪定 Pruning to rejuvenate fruit tree branches
果樹剪定の基本
我が家の農作物のメインはブドウ。りんごは少量を自家用に作っています。
ブドウもりんごも、剪定の基本は一緒で、一番大事な考え方は、枝を若返らせることです。昨年実をつけた結果母枝から今年の春に芽が出て、その芽から出た枝が新たに今年の結果母枝になってくれるのですが、今年の結果母枝に本領発揮してもらう準備をするのが剪定の基本。昨年の枝のうち、余分な枝は落とし、一部は今年のために残す。この作業で枝をリフレッシュさせててあげる。この概念を頭に入れて作業を行うと、腑落ちしながら作業ができてはかどります。
りんご剪定のコツ
概念はわかっていても、迷ってしまうのが剪定です。
いざ始めてみると、この枝は落とすべきか、残すべきか。。。選択の連続です。周りのベテラン農家が行った剪定樹をみると惚れ惚れするほど美しい。真似できるところはできる限り真似しながら剪定を進めます。
素人なりに、なんとなく掴んできたポイントは以下です。
- 上下に伸びた枝は落とす。横に伸びた枝は残す。
- 樹の内側に伸びた枝は落とす。外側は残す。
- 迷ったら思い切って落とす。
上下に伸びた枝は落とす。つまり、ハサミやノコギリの刃を水平に入れる枝は問答無用で落とす。まずはこのルールで進めてゆきます。
樹の内側に伸びた枝は落とす。
イメージは、樹の外に外に向かって枝を広げて外側にワーッと実がなるイメージです。内側に進行した枝は陽が当たらなくて光合成不足でいい実がならないし、収穫時も不便。内側に閉じこもる枝は落として外に出てくる出しゃばり君を残します。
迷ったら思い切って落とす。
これがなかなか難しいのですが、かなり重要と思っています。横へ、外へ、のルールで枝を落としていっても、どうしても迷う局面に出会います。果樹は基本的に、実の成らせすぎが大敵です。欲張って枝を残して実がたくさん着いてしまうと、栄養不足で結局良い実がなりません。少なめと感じるくらいでちょうどいい。
ちょっとでも迷いが出るということは一軍の枝ではないということで、欲が出ている証拠。その枝の魂だけは引き継いで、残る枝に想いを託し、思い切って落とします。
りんごの剪定に正解なし
りんごの剪定に正解なし。とよく言われます。各々の樹には個性がありますし、毎回同じ剪定なんてできない訳で、今年はこんな剪定をしてどんな実がなった、という経験の積み重ねで上達してゆくものです。
答え合わせは秋の収穫にて。下手でも自分で剪定した樹は可愛くなるもので、これからの芽吹き、結実が楽しみです。
それにしても、隣の畑で同じくりんごの剪定作業していた先輩農家さんは、早いし仕上がりもカッコイイ。スキルを持った職人仕事で、憧れます。いつか自分もあんなふうに選定できるようになりたいなぁと思った、今年のりんご選定でした。
それでは。