野菜栽培と果樹栽培。どちらも栽培を通して収穫物を得るということは共通の農業形態ですが、育て方や考え方に大きな違いがあります。
参考文献:果樹栽培 実つきがよくなる「コツ」の科学
野菜は線、果樹は円
野菜は一年生の草であり、果樹は多年生の木もしくは草です。そのため、果樹は何年も同じ植物を育てていくのが、野菜との最も大きな違いです。
野菜の栽培サイクルは、例えばトマトでいうと、4月ごろの植えつけから始まって、10月ごろに栽培が終わって枯れた株を引き抜くため、栽培カレンダーは始点と終点のある線になります。一方、果樹は、下図のブドウのように、その年の収穫が終わった後も木を枯らさずに育てるので、栽培カレンダーが途切れることなく、円状に何年も続きます。このように野菜は線で、果樹は円で栽培サイクルを考えるのが、両者の違いといえます。
栽培サイクルが円状だということは、例えば夏に根が乾燥して枝葉がしおれたり、病害虫で木が弱ったりした場合に、その影響が翌年の実つきなどにも関係するということでもあります。そのため果樹は、翌年のために日頃の栽培管理を十分に注意する必要があります。