施肥の知識がないので、本を読んでいます。
本の中で問われました。「土」と「土壌」の違いは?
うーん、考えたことなかった。土が商売道具の農家なので、言えるようにしときたいと思います。
参考文献:環境・資源・健康を考えた土と施肥の新知識
「土」と「土壌」の違い
人に恥をかかせることを、人の顔に「泥」を塗る。相撲で負けることは「土」がつく。
何かと悪いイメージで使われることが多い土。一方で、「泥」付き野菜とか、土の香りとか自然を表す意味でも使われ、とりわけ農業の世界ではポジティブな使われ方が多いと思います。
土は昔から、人間にとってすごく身近な物質で、特に農業にとっては必要不可欠な超重要な物質になっています。
「土」と「土壌」では、何が違うのでしょうか?著者曰く、
「土」とは植物を育む大地。
「土壌」とは植物を醸(かも)しながら育む大地。
土に比べて、そこで農産物を育む母体、という意味合いが強いのだと思います。
植物を育てるために、微生物を住まわしてふかふかにし、有機、化学問わず肥料を施肥して植物が育ちやすくカスタマイズされているもの。土を植物を育てやすくするためににカスタマイズしたものが土壌、こんなイメージで私は捉えています。
土作りと施肥管理 –肥料成分の働き– Function of Fertilizer Components
養液栽培が土壌の置換になるか?
土壌を使わない植物の養液栽培技術が普及し、たくさんの「植物工場」が作られるようになりました。清潔で美味しい工場野菜、私も大好きでよく利用します。
植物を育てるのに必要なものは、適切な温度、水、空気、養分、光。土壌は必須なものではありません。
工場野菜では、これらの要素の中で、養分を化学肥料を主体として培養液の中に溶け込ませて植物栽培をおこなっています。
理論的には、全ての植物は、養液栽培ができるはずなのですが、今現在そうなっておらず、主食である穀物や果樹などの作物の大部分は「土壌」に頼っています。
理由の一つは、今のところ採算の見合う作物は一部の野菜に限られること。
さらに、養液栽培はほぼ全ての養分を化学肥料に頼っていますが、原料のリン鉱石などは資源量が減少してきていて、無限に確保できるとは限らない。
まだまだ、土壌で農業を行う時代はしばらく続きます。
土壌を守るのも農家の仕事
土壌は、生育に不可欠な空気や水、養分を蓄えるとともに、土壌中に投入された有機物を分解して無機物に変える能力を持ち、物質循環に重要な役割を果たしています。
生産性を高めるために施肥は行いますが、物質循環に逆らわないで肥料を過剰に与えないし、枯渇もさせない。これを心がけることが、結果的に出来のいい作物を得ることにも繋がるし、環境保全にもつながります。この流れをメンテナンスし続けることも農家の大事な仕事です。
化学、園芸の正しい知識を身につけて、イイ土壌を作れる農家になることを目指して、勉強を続けます。