参考文献:果樹園芸学の基礎/伴野潔/山田寿/平智
糖の蓄積と有機酸の減少
成熟にともなう果肉成分変化の特徴で,多くの果実に共通しているのは,糖の蓄積と有機酸の減少である。
成熟した果実は,数パーセントから多いもので20%程度の糖を含んでいる。おもにプドウ糖や果糖を蓄積する還元糖蓄積型果実と,おもにショ糖を蓄積する非還元糖蓄積型果実に分けられる。前者にはプドウやオウトウなど,後者にはモモやバナナなどがあるが,カキなどのように品種によってタイプがちがうものもあり,’富有’や’次郎’はショ糖を,’平核無’では還元糖を多く蓄積する。
下図はリンゴ果実の発育にともなう糖蓄積の例である。果糖が生育の初期から徐々に蓄積するのに対して,ショ糖は後期に急速に蓄積してくるのがわかる。
有機酸は,クエン酸蓄積型果実とリンゴ酸蓄積型果実に分けられるが,果実の成熟にともなってしだいに減少する。下図はブドウの例で,果実が発育するにつれて減るが,成熟期には約半分をブドウ特有の有機酸である酒石酸がしめているのが特徴である。