参考文献:果樹園芸学の基礎/伴野潔/山田寿/平智
発育 – 成熟 – 後熟(完熟)- 追熟
果実の発育や成熟をあらわす用語は混同して用いられることがあるので,下図のように整理しておきたい。
成熟(maturation)とは,果実がほば本来の大きさに発育して成分的にも充実し.収穫が可能になった状態で,その時点で可食可能か,その後の追熟などで可能になることをいう。
成熟した果実の多くはそのまま樹上においておくと,さらに後熟(ripening)して着色や果肉の軟化がすすみ,完熟(fullripe)状態になる。また,成熟した果実を収穫すると,収穫後の成熟,つまり追熟(postharvest ripening)がすすんで適熟(eating ripe)となり食べごろをむかえる。
クライマクテリック型果実の成熟と追熟
収穫後の果実はその呼吸パターンによって,クライマクテリック型果実(climactericf ruit)とノンクライマクテリック型果実(non-climacteric fruit)に大別される。前者は,収穫後に呼吸の上昇(climacteric rise)がおこり,追熟が急速にすすむのに対して,後者は明らかな追熟現象が認められないまましだいに老化(senescence)がすすむ。
典型的なクライマクテリック型果実であるセイヨウナシやアボカドは,成熟段階を過ぎた果実をそのまま樹上に残しておいてもうまく後熟しない。これらの果実がそれぞれに特有な肉質(texture)や芳香(aroma)を獲得するには,適期に収穫して追熟させる必要がある。