ひたすら冬の粗剪定を進めています。
冬の時期は、緑から茶色にすっかり変色、枯れているかのように思えます。
ですが、中身を見てみると、しっかりと緑色。生きているのがわかります。冬の枝がどんな状態にあるのか、少し文献で調べて見ました。
(参考文献:最新農業技術 果樹 vol.10 ステージ別生育診断と対策 養分貯蔵・休眠期の生育診断)
春の芽吹きのための貯蔵養分
ブドウは春に芽吹きを迎えますが、芽吹きに使われる養分は冬の間に枝や根に溜め込んだ貯蔵養分が使われます。そしてこの貯蔵がいつ行われるかというと、ブドウの収穫後。
光合成で得られた養分は、実がなる時期は実に集中。収穫後に枝、根に貯蔵。この貯蔵養分のみで次シーズンの発芽を行う訳です。これを見事に示した、各ステージでの各組織の換物率トレースデータがありました。美しいデータですね。
もう一つ面白いことも起こっています。落葉前の葉から枝への窒素の返送です。葉は自らの役目を終えて落葉する前に、贈り物のように持っていた窒素を枝に送り返します。これを示すデータが以下です。
葉っぱの窒素は9月頃から急激に低下して落葉。枝の窒素量は葉からの返送を受けて逆に増える。緑だった葉が黄色(窒素が少なくなった状態)に変化してから落葉するのが理想的だそうです。
ブドウにおける登熟
ブドウの茎は、雪が降り始める頃にはすっかり茶色に変わります。この現象は登熟と言います。
登熟とは、一般的にには子実などに炭水化物、脂質、タンパク質などが貯蔵されることをさすが、ブドウでは、結果母枝の基部の方から炭水化物を中心とする養分が詰まり充実した枝になることを指す。
最新農業技術 果樹 vol.10
一見枯れてしまったのか、と思いきやしっかり生きていて、登熟がいいほど栄養がしっかり枝に詰まったというシグナルになります。
芽吹きの観点から言うと、登熟はよく進んでる方がいいです。
登熟が強い:貯蔵養分たっぷり:春の充実した芽吹きが期待できる
登熟が弱い:先端まで登熟させる養分を持っていなかった:春の芽吹き悪いかも
と言うことになります。
春の芽吹きに向けて剪定で環境づくり
ブドウの収穫後は、地味に佇んでいるように見えたブドウの木たちですが、実は来シーズンに向けて着々と準備を進めていたんですね。頭が下がります。
春に向けて淡々と準備を進めるブドウたちが気持ちよく芽ぶけるように、きれいに剪定していい環境作るのは人間の役目です。
めちゃくちゃ寒いですが、丁寧に剪定を進めます。
それでは!