農業で主に使われる肥料は、窒素、リン酸、カリ、の三つです。
窒素肥料は、空気中の窒素を材料に作られるので、基本的にはどこでも作れますが、実際にはどこでどのように作られているものなのでしょうか。
参考文献:マッキンゼーが読み解く食と農の未来
窒素肥料の作り方
植物の生育には窒素が必須ですが、植物は空気中にたっぷりある窒素を直接使用することができず、土壌中のアンモニウムまたは硝酸の無機態窒素を吸収して生きています。
現代の窒素肥料は、ハーバーボッシュ法で作られています。
N2 + 3H2 = 2NH3
空気中の窒素と水素を反応させてアンモニアを生成し、このアンモニアをもとに各種窒素肥料が製造されています。注目すべきは、ここで使われる水素。コストを低減させるため天然ガスから水素を生成し窒素合成に使われているそうです。化学の力ってすごいですね。
農業生産量と窒素消費量
世界の作物消費量の将来推計から、2030年まで年率で2%の割合で農作物生産量を増やしてゆく必要があります。
一方で、窒素肥料の消費は2030年まで年率1.1%しか伸びないと予想されています。
これは従来の過剰投与により農業先進国のほとんどで施肥量が飽和状態になっていることに加え、環境問題への対応を迫られることもあって、栽培に投入する肥料の量を減らす傾向が見られるためです。
窒素肥料の生産地と消費地
窒素肥料はどこで作られて、どこで使われているのか。
それは、ウレア(尿素)の輸出入取引量から見えてきます。
大きな流れは、中国からインドへの流れ、もう一つはロシア・ウクライナからヨーロッパ・ブラジルへの流れです。矢印の元が生産国で、先が消費国です。
残念ながら輸出国にも、輸入国にも、日本の名前は出てきません。農業の分野では、窒素生産も農業生産も、量的には主流ではないのだということを思い知らされます。
昨年自分が畑に撒いた窒素肥料はどこで作られたものなのか、とふと考えてしまいました。袋には生産国は書いてなかったので、卸の方に今度聞いてみようと思います。
どこで作られた窒素養分を使って自分のブドウは育っているのか知っておくと、今以上に自分のブドウに愛着が湧きそうです。
土作りと施肥管理 –肥料成分の働き– Function of Fertilizer Components