これからどんどん暖かくなってくると、発芽と新梢生長が始まります。
ブドウの樹の中で何が起こるのか、事前に予習しとこうと思います。
参考文献:最新農業技術果樹 vol.8
貯蔵養分の利用
新梢の生長にはどうか養分である炭水化物と、根から吸収される無機養分の両方が急速に利用されます。
発芽及び新梢の生長初期には、光合成を行うことのできる葉っぱが存在しません。したがって、それらの初期生育に必要な炭水化物は、枝や幹、根などに含まれる貯蔵養分を利用するしかありません。これらは、前年の葉が落葉期までに光合成して生産されたもので、貯蔵養分と呼ばれます。
貯蔵養分の流れ
貯蔵養分が発芽及び新梢生長期にどのように利用するか調べるために、14C(放射性同位体炭素)を用いて追跡調査したデータがあります。
収穫後に14Cを含む炭酸ガスを与えて同化させ、翌年の満開期に至るまでの14Cの移行を追跡したものです。貯蔵養分(14C)は冬季には樹体内部に含まれていますが、展葉開始期には、母枝と新根へと移行、満開時には樹体中全14Cの60%が新梢に移行しており、貯蔵養分がいかに新梢生長に重要であるかが伺えます。
新梢内での14Cの分布を見ると、新梢の基部と葉と茎、花穂に貯蔵養分が高濃度で分布しており、先端部へ葉ほとんど移行していません。花穂着生部付近までの葉の形成や花穂の発育は、完全に貯蔵養分に依存しており、それより先への生長には、成葉になってきた基部の葉によるどうか養分が利用されることがわかります。その後、10節くらいに伸びた段階では、貯蔵養分はほぼ使い尽くされ、それに代わって新しい葉の同化養分を利用して成長が続けられると考えられ、貯蔵養分から振動か養分への転換期は、発芽期と開花期の中間ごろになります。