7月のぶどう農家はやることたくさんです。
今週はジベレリン処理してました。種無しぶどうを作るために欠かせない処理です。ブドウの花が開花しそうな時、粒が大きくなってきた6月末から7月初旬のこの時期の計2回処理します。
植物ホルモン、ジベレリン
ジベレリンは植物ホルモンの一種です。色々な効果があるのですが、主に以下です。
- 一回目の狙いは単為結実促進(受粉なしで果実が成長し始める。種ができない)
- 二回目の狙いは果実の肥大促進(ブドウの実が大きく育つ)
要は、ぶどうにちょっと勘違いしてもらって、タネができる前に成長を始めてもらうことが狙いです。
歴史は古く、20世紀初頭に日本の研究者によって発見、精製されたようです。
自分も大学時代に実習で扱いました。バクテリアにジベレリンを作らせて精製して、シロイヌナズナに処方して効果を検証した記憶があります。懐かしいです。
楽々カップでジベ処理
農家はみんな”ジベ処理”って言ってます。どんな作業かと言いますと、タンクからポンプで薬液を吸い上げてカップの中にシャワー、ブドウの房をシャワーにくぐらせて房に付着させます。
農家の会話で、今日は雨だからジベ処理できねぇなぁ、とか、今日は日照りだからジベ処理できねぇなぁ、という会話をしています。最初何言ってるかわからなかったのですが、雨の日はせっかくつけた薬液が流れてしまうから不都合、日照りの日は液滴がレンズ効果して局所的に実が焼けてしまうということだそうです。納得です、勉強になります。ジベ処理には曇りで程よく風がある日が良いそうです。
農薬と農家
ジベレリンは農薬か、と聞かれたらYESです。植物に人為的作用を加えていますから薬です。
ブドウ栽培にはジベレリンの他にも、消毒目的等、各種農薬を使用します。ただ、農薬が悪かというと、NOだと思ってます。なぜなら、安全性はしっかり検証されていて、かつ、無農薬ぶどうは顧客の求めるベネフィットではないから。需要があったとしても超少数で商売として成立しないから。
“農薬”というと負のイメージを持ちがちですが、農薬メーカーの方々が研究を重ねて日々進化してます。そして安全性をしっかり検証したものを当局が使用を許可してます。どうぞご安心ください。
加えて、無農薬でブドウを作ることは可能ですが、粒が小さくて、酸っぱくて、収量が落ちて超高額になります。そのぶどうはマーケットでは受け入れられないと思ってます。
農家の仕事は、農薬を正確に使用して、おいしい作物を適正価格でマーケットに届けることです。秋の収穫を乞うご期待。
それでは!