ブドウ農家は繁忙期に突入です。
農作業をしていると、どうしても完璧を目指してしまいます。しかし、農家にとって、全てに対して完璧を自分に課して仕事をこなすことは、最善の策とは思いません。
カンペキを目指したくなる気持ち
私は几帳面な性格です。部屋は片付いていないとイライラするし、決まったところに決まったものが置いていないと落ち着きません。家族にはめんどくさい生き物と思われています。
農作業でも同じです。ブドウの房きりをしていると、残すのは3.5mmと決めたらきっちり3.5mmにしたくなるし、枝の誘引をしていると主枝に対してきっちり直角に一本残らず枝止めしたくなります。これらを徹底してゆけば、きっと品質の揃ったとても良いブドウに近づくことでしょう。そして何より、几帳面な私の自己満足感は強く満たされます。
しかし、これでは商売としての農業は成り立たないし、きっと自分はつまらない農家になってしまう、ということに最近気がつきました。
言い訳をつけてテキトーでやめる
農家にとって、テキトーであることが非常に重要です。
第一に、すべてカンペキにやっていたら仕事が回りません。例えば、完璧な形のブドウを目指して完璧な房きりにこだわって一つの畑に時間をかけていたら、いつの間にか隣の畑では房きり前に花が咲いて適期を逃してしまった、となりかねません。完璧なブドウ、が少量収穫できるかもしれませんが、食べていける収入は得られないでしょう。
加えて、テキトーさで栽培に揺らぎがあることで、有効なデータが取れたり、思わずいい結果に転がることが多々あります。房きりで言いますと、3.5cm狙いだったけと勢い余って2cmで仕上げてしまったとしても、その品種、その畑、その年、には2cm仕上げの方が立派な房に仕上がることがあります。誘引で言いますと、何がなんでも直角にと無理して留めたけど、強風が吹いて応力がかかってしまって翌朝畑に行ったら枝が折れてた、などなど。
- ブドウの生育が早くて仕事が追いつかない、背に腹は変えられぬ、$$優先でちょとテキトーモードに切り替えてスピードアップ。
- 疲れてきたら、持続可能な体調管理のために、テキトーだけどここでやめよう!!
- 雑な手入れになってしまったけど、この手入れ具合だとどういうブドウになるかかちょうど知りたかったんだよね!!
こんな具合に、セコイ言い訳をつけて、精神と体力のバランスをとりながら仕事を続けることが大事だと思っています。
85点狙いでサクサク作業を進めます
我が家は伝統工芸品を作っているわけでもないし、美しいイングリッシュガーデンを整備しているのでもない。
カンペキを目指しつつも、テキトーな遊び心を織り交ぜつつ。80点は最低欲しいが、ちょっと上を目指して85点狙い、ただ決して100点ではない。このくらいの心の持ちようでサクサク仕事を進めます。
そうしないと、あと半年もある繁忙期、とうてい体がもたないYo!!
それでは。
ブドウの誘引 HOW TO TRAIN GRAPEVINES
“ふさきり”でブドウの房作り Making grape bunches with “Fusakiri”