冬の時期、正直時間に追われる農作業はほぼなく、ゆっくり体を休めつつ日々を過ごしています。
とはいえ、この時期にやらなきゃいけないのが各種財務イベント。そのうちの一つ、償却資産申告書の提出を電子申請で行ったのですが、これがなかなかの曲者でした。特に環境設定が重要で、Macユーザー、iPhoneユーザーの私には壁がいくつもありまして。。。
マネーフォワードクラウドで農家の確定申告 Farmers’ Tax Returns with Money Forward Cloud
農家の確定申告。マネーフォワードクラウドで申告書印刷がおしい。Farmers’ tax returns.
償却資産申告書とは?
農閑期の一大イベントといえば確定申告。2023年は2月16日から始まります。まだまだ時間があると油断しがちですが、その前にもいくつか財務イベントがやってきます。その一つが償却財産申告書の提出。11月頃に封筒来てるな〜と心の隅にには引っかかっていたのですが放置していました。気づいたら締め切りは間近の1月31日。急いで取り掛かることにしました。
そもそも償却財産申告書とは、個人や法人が所有する償却資産について、地方自治体が適切に固定資産税を計算できるよう、所有者自らが償却資産を申告するための書類。土地や建物の固定資産税は、登記に基づいてほぼ自動的に持ってゆかれますが、これ以外にも事業で使用している資産(構築物とか機械とか)があればこれらも固定資産税の対象になります。税率は減価償却を経たの課税基準額の1.4%とのこと。なかなかがっつり持ってゆかれますね。。。
とはいえ、これらの資産を元手に事業で儲けさせてもらってるわけで、儲けの一部を納税して、それが道路や学校に使われると思ったら、きっちり納税するのも事業者の喜びと捉えて、償却資産申告にもしっかり取り組むことにしましょう。
eLTAXにトライ
今回の申告書の提出は、eLTAX (地方税ポータルシステムの呼称で、地方税における手続きを、インターネットを利用して電子的に行うシステム)で行うことにしました。確定申告はeTAXで電子申告を経験済みでしたが、調べてみると、この償却資産申告も電子でできるらしい。
デジタル庁もできて、今後ますます主流になっていくであろう行政サービスのデジタル化。教訓にしている言葉の一つ、大きな流れには乗っかれ。最初は苦労するかもしれませんが、今年はeLTAXにチャレンジしてみることにしました。
マイナンバーカードのカードリーダーで一苦労
電子申請に必須となってくるのが、マイナンバーカードの読み取り。eLTAXは電子署名のステップでマイナカードの読み取りが必須になります。昨年のeTAXは、スマホ読み取りでいけたので、eLTAXもそれでいけるだろうと取り掛かってみてみたのですが、これがなかなか進まない。。。
まず、自分が使っているスマホがiPhone。電子署名には公的個人認証サービスjpkiというシステムを使用するのですが、残念ながらiOSは非対応。。。残念。
しかし、Androidは使えるらしい。まだまだ諦めるにはまだ早い。母親のAndroidスマホを借りてきて再度挑戦。しかし、またまたハードルが。。。私はMac PCを使用しているのですが、どうもAndroidをカードリーダーとしてうまく認識してくれない。なぜ??
調べてみると、PC側にインストールしたjpki利用者ソフトの”ICカードリーダライタ設定”という機能でBluetooth接続を操作するらしいのですが、Macにインストールした場合、この機能がまるまる不在。何回見ても不在。どうやらWindows x Androidの組み合わせはいけるけど、Mac x AndroidはNGのようです。残念。
Sony PaSoRi に想いを託すが
どうやら、スマホをカードリーダとぢて使うのは諦めて、カードリーダデバイスを入手するしかなさそうです。すぐさま家電量販店へGo。非接触で機能も多そうだし、見た目もシュッとしているSonyのPaSoRi RC-S300を約4000円で購入。macOS13にも対応してるって書いてあるし、信頼のSonyということでこの子に決めました。
意気揚々と帰ってきて作業再開、と思いきやなんとこのSony PaSoRiがMacとうまく接続してくれない!デバイス認識はしてるっぽいのですが、接続が確立されません。Appleシリコン用のUSBドライバを手動でインストールしても接続不可。 OMG!!
PaSoRiのサイトをさまよっていると、Q&Aに“USBハブはサポートしてません”ってさらりと書いてある。PaSoRiはUSB TypeA端子。MacBookはUSB TypeCしかないんだから、ハブは使うでしょSonyさん!
とはいえ一回買ってしまったPaSoRiにまだ未練がある。ハブがダメでも、単純な変換ならいけるかも。ハブは電力不足とかあるしね。淡い期待を抱いて電気屋に行って変換ケーブルを購入
結果はーーーー引き続きMacとPaSoRiを接続できず。なんとなく分かってたよ、期待した自分が未熟だった。
私の知識不足で他の解決策があるのかもしれませんが、申告の期限は迫ってる。他のカードリーダーにかけてみるしかない。
GOPPA 接触型カードリーダーが救世主に
再度電気屋にゆき(3回目)、他のカードリーダーを探します。次に選んだのが、GOPPAのICカードリーダー。非接触だとSUICAやWAONも読めるとのことだったので非接触で探していましたが、そんなことはもうどうでもいい。こちとらすぐにでも申告済ませなきゃいけないんだ。マイナカード読めればそれでいい。今度は接触型のGOPPAのICカードリーダーを購入。約2000円。失礼ながら聞いたことないブランドだし、見た目もSonyに比べるとなんだか頼りない。Mac対応って書いてあるけどすごく不安。いや、Simple is the Best。俺はGOPPAと心中するんだ、と購入を決めました。
急いで帰宅してMacに挿します。
結果はーーーー無事接続!挿しただけでなんの操作もなくそのまま使えます。もちろんUSB TypeC/TypeAのハブ経由でなんの問題もなし。
GOPPAさん、なめてました。ごめんなさい。あなたが私の救世主になりました。私はGOPPAを忘れない。
MacではeLTAXでの申告手続き機能が使えないことが判明
これでカードリーダー問題は無事解決。勝ったな、って思ってeLTAXでの申告作業に入りましたが、ここでまた問題が!
eLTAXでは、PCdeskというソフトで作業を行うのですが、ブラウザ上で動くWEB版とダウンロード版とスマートフォン版があるとのこと。
ソフトをダウンロードするのが面倒だしWEB版が便利じゃん、とWEB版で始めたのですが、探せど探せど申告書作成のボタンがない。
説明をよく見てみると申告書の作成はDL版でしかできないらしい。なるほど、DL版を入れるしかなさそうだ。
DL版をMacにダウンロードしてインストーラーを起動、、、がしかし、インストールが始まらない。
嫌な予感がして、うすうす感づきながら調べてみると、このPCdesk DL版はWindowsのみ対応。Macにはインストールできません。JESUS!!
ここで完全に詰みました。AppleとeLTAXの相性は非常に悪いことを学びました。
しかしまだまだ諦めない
いろいろ試して、カードリーダーまで買って、ここまでやって市役所窓口に行って紙で申請するのは負けを意味します。諦めがつきません。
そう、MacがダメならWindowsでやればいい。
自分のMac PCでの操作は断念し、父親のWindowsマシンを借りて、意地でもeLTAX攻略したい。
悔しさを噛み締めながらも頭を切り替えて、父親のWindowsで取り掛かってみたところ、PCdesk DL版もしっかりインストールできて申告作業を始めることができました。GOPPAのカードリーダーはWindowsでもしっかり動きます。
ここまでのつまづきのおかげか、作業を始めてしまえば、電子申告自体はスムーズにできました。償却資産の増加、減少をポチポチと入力して、電子署名をつけて、送信して完了。電子申告の便利さの威力を痛感しました。
この経験は無駄にはならないはず
電子申告作業自体は10分で完了。
しかし、ここまで辿り着くまでに、時間にして丸一日。
出費は GOPPAのカードリーダーとUSB変換ケーブルの分で約3000円。
*PaSoRiの製品自体に非はないのですが、私の知識不足でうまく使えず、返品させていただきました。Mac でのPaSoRi使用は、解決法が他にあるかもしれません。
*USB変換ケーブルは、結果的に必要ありませんでしたが、他で使えそうなのでキープです。
明らかに、市役所窓口に行って申請する方が早いし簡単、という結果になってしまいました。がしかし、これらの経験は、来年からの電子申請にきっと役立つはず、と信じています。
私の2023年の償却資産申告の失敗と学びの経験、まとめると以下です。
<環境>:2023年1月段階で、M1 MacBook OS13 とiPhoneでeLTAXにトライする場合
- iPhoneはjpkiのカードリーダとしては使えない。
- Androidはjpkiのカードリーダとして使えるが、Windows限定。
- Sony カードリーダPaSoRiはmacBook OS13ではうまく動かない。(解決策はあるかも)
- GOPPAカードリーダはMacでも接続いける。
- eLTAXでの電子申告の手続きにはPCdesk DL版が必須。
- eLTAXのPCdesk DL版はMacではインストールできない。つまりWindows PCが必須。
eLTAXの利用でつまづいた方々、特にMacユーザーの方々の一助になればと思います。
最後に、eLTAX行政当局の皆さん、機器メーカーの皆さんに一言、
一刻も早いApple製品対応をよろしくお願いいたします。
それでは。