徒長枝は整理しろ、徒長しすぎるといいブドウがならない、などなどよく耳にする「徒長」というわかっているようでよくわからない現象について理解を深めます。
参考文献:果樹栽培 実つきがよくなる「コツ」の科学
伸びすぎはよくない
葉では光合成が行われ、それによって生み出された糖などの養分が果実の肥大や木の生育に使用されます。
そのため、枝が伸びて葉がふえるのは果樹にとってよいことです。しかし、あまりに枝葉が伸びすぎると、果実の肥大や木の生育よりも枝葉を伸ばすために養分を使うようになり、花や果実への養分が不足して花や果実が落下し、その年の実つきを悪くする原因となります。加えて、枝葉が伸びすぎて混み合うことで周囲の日当たりが悪くなり、効率的な光合成を妨げたり病害虫の発生を助長することがあります。
枝葉の伸びすぎによる影響はその年に限りません。葉のつけ根で形成されている「翌年のための花芽」への養分が不足すると、翌年の開花数や収穫量が激減します。
枝葉が伸びるほど実つきがよくなる、と勘違いされやすいですが、実つきのためには、枝葉は適度な長さが好ましく、伸びすぎた枝葉は「徒長枝」とよばれ、不要とされる果樹が多いのです。
枝の徒長の防ぎ方
枝の徒長を防ぐには、管理作業を見直す必要があります。まずは、「肥料のやりすぎ」を控えましょう。枝葉の伸びすぎで養分が不足すると聞くと、肥料をたくさんやれば解決するように思うかもしれませんが、多くの場合、肥料をやりすぎると逆効果です。特にチッ素肥料を必要以上に施すと、枝葉の伸びすぎを助長して枝自体が軟弱になり、花芽がつきにくくなります。肥料は適度な量を施しましょう。
また、「枝を斜めや水平に寝かせて誘引する」ことで、枝菓の伸びを抑えられます。冬~早春の剪定時のほか、それ以外の時期であっても、周囲の太い枝や支柱、地面に打った杭などにひもを通して、枝葉を斜めに誘引するとよいでしょう。ひもを使わず枝葉を斜めにする方法には、「捻枝」があります。
他にも、「摘心をする」ことによって、枝葉の伸びを止めることができ生す。
以上に加えて、「剪定での枝の切りすぎ」も厳禁です。
なお、すでに徒長枝になってしまった新梢は、見つけ次第、つけ根から切り取るとよいでしょう。養分のロスを防ぎ、周囲の日当たりや風通しを改善できます。
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